初めて外国人を採用するときには、不安がつきものです。
まずは外国人を雇用する際に心得ておくポイントを学びましょう。
日本語を母語としない人が自身の日本語能力を証明するための試験として「日本語能力試験」があります。「JP JOBS」でもスキルシートの保有資格の欄で求職者の日本語スキルを確認できます。
「日本語能力試験」にはN1〜N5まで5つのレベルがあり、最高レベルはN1です。目安として、N1は新聞を読んで内容や構成を理解でき、ニュースや自然なスピードの日本語を理解できるレベル、N2は、日常生活で使われる日本語を読むことができ、日常会話を理解できるレベルだとされています。
ただし、「日本語能力試験」の結果と、本当の実力が一致しない場合もあります。採用の際は、面接での会話とあわせて、実際の業務で使用するドキュメントを読解できるかどうかを確認しておくと良いでしょう。
外国人の求職者は、日本人に比べて自身の能力を強く主張する傾向にあります。そのことを知らずに、「良い人が応募してくれた」と舞い上がり、きちんと確認をせずに採用してしまうと、後々の業務に支障をきたす場合があります。面接での自己申告だけでなく、実技試験を受けてもらうなどして、対象者のスキルを正確に把握するようにしましょう。
採用が決定したら、雇用契約書を作成します。双方のトラブルを回避するためにも、契約内容は細かく明確に決めておきます。とくに就業時間や休暇の取得、残業の有無については、お互いに読み合わせをして曖昧な点を解消しておきましょう。
日本語だけでは不安が残る労働者の場合には、英語や母語に翻訳して理解してもらう必要もあるでしょう。
日本にいる外国人は、入国時に与えられた在留資格の範囲内で、定められた在留期間に限って就労することが認められています。
外国人従業員を雇用する際には、本人の「在留カード」をチェックし、就労が認められていることを確認します。在留活動は「パスポートでの上陸許可証印」「外国人登録証明書」(在留カード期間内のみ有効)などでも確認することができます。
在留カードのチェックポイント
- 業務内容が在留資格の範囲内か?
- 在留期間を過ぎていないか?
問題がないことを確認したら、外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等を確認してハローワーク(公共職業安定所)へ届け出ます。解雇した際にも届け出は必要です。
外国人労働者にとって、「企業側の外国人受け入れ体制」は重要なポイントです。他に外国人社員がいる場合には、どのような仕事を担当しているか、どのようなキャリアパスを描けるのか等を伝えておくといいでしょう。海外勤務経験のある社員がいれば、面接などでコミュニケーションを取っておき、気軽に相談ができる体制を作っておくことも有効です。
外国人にとって、慣れない国での就労には不安やストレスがつきものです。業務だけに限らず、日常生活でも困ったことを相談できるお世話係を決めておくと良いでしょう。
日本での就労を希望する外国人は、自身のキャリアパスを明確に思い描いている場合が多いようです。「いつまで日本にいたいのか」「将来的にどのような業務を行いたいのか」等について、しっかりと場を設けて話し合い、互いに把握しておくことが大切です。面談の場では「○年○月までにこんな業務を任せたい」といった内容を雇用側から明確に伝えることも必要です。
本人の希望を聞かずに企業の都合だけで決めてしまうと、最悪の場合、早期退職や帰国など、思わぬ事態に発展する可能性があります。
外国人採用は、これまで気がつかなかった新しい視点や発想を生む良いきっかけになります。社内に多様性が生まれれば、それだけ発見も多くなるものです。構えすぎず、お互いの文化を尊重して、楽しく働ける環境づくりを目指しましょう。